2005年03月03日

ライブドアは株主にとってよい企業か

 ホリエモンこと堀江貴文社長が率いるライブドアは、ニッポン放送株の買収資金を調達するために、転換社債型新株予約権付社債(MSCB)という手法を用いた。貸株と併用すれば引受先の証券会社(今回の場合はリーマン・ブラザーズ証券)が確実にもうかる商品で、一方株価はほぼ確実に下がるために、既存株主が損を被る確率がきわめて高い手法だ。

 だが過去にさかのぼって調べてみると、ライブドアは昔からこうした株主の不利益を伴う手法によって、資金を集めてきた会社のようだ。

 ライブドア(旧・オン・ザ・エッヂ)が東京証券取引所マザーズに上場したのは2000年の4月。まさにネットバブルのピーク時に株式を公開、公募増資で約60億円を調達した。当時はネットベンチャーに対する評価が異常に高すぎたが故に、集めることのできた資金だった。当然ネットバブルの崩壊と同時に株価は高値から9割程度下落。上場時から株式を保有する多くの投資家が損を出したという。

 ライブドアが現在のように「有名」になる転換点となった2000年4月の公募増資(382億円を調達)も、イレギュラーな形で高くなった株価を利用している。

 ライブドアは2003年12月に1対100の株式分割を実施した。理論的には、分割は企業価値や時価総額には影響を与えない。100分割であれば、発行済み株式数が100倍に増え、株価は100分の1になり、時価総額は変わらないというのが理屈だ。

 だが日本の場合、株券印刷などの物理的な制約から、増えた分の新株が交付されるのは1カ月半から2カ月後になる。その間、株価はいったん100分の1になり、買い手が殺到するが、新株は流通していないという状況が続く。分割の度合いが大きければ大きいほど 需給関係が逼迫して株価の高騰をもたらす。ライブドアの100分割の場合、時価総額は一時的に分割前の10倍にまで膨れあがった。

 そのイレギュラーな株価を前提に公募増資をしたからこそ、400億円近い資金を集められたわけだ。この資金がなければ、当然、近鉄バッファローズの買収に名乗りを挙げることはできなかっただろう。

 そして今回のMSCB。ライブドアが発行するMSCBに付いている転換価格の下方修正条項では、株価下落に合わせて転換価格も下がり、常に市場価格より10%安い価格で株式に転換される。リーマンにとっては株価が下がっても、売れば売るだけ利益が稼げることから、引き受け条件で下限に設定された157円にまで株価が下がる可能性もある。

 株式分割直後の公募増資より、MSCBはさらに「裏技」の度合いが強い。実際、これまでMSCBを発行した会社は、中長期で見るとほぼ間違いなく株価が下落し、仕手筋のおもちゃにされ、今や会社の体をなしていないところも少なくない。

 ホリエモンという経営者を、その数々の発言から判断すると、魅力的に映ることは確かだ。プロ野球参入問題で読売新聞グループの渡邉恒雄オーナーなど旧世代のオーナーたちを斬ったように、フジテレビの日枝久会長との論戦でも、理はホリエモンが勝っているように見える。

 マスメディアでも、多くのブログでも、ホリエモンにエールを送る人は少なくない。実際AERAなどは、「そんなに他のメディア(フジサンケイグループ)が問題になっているのが面白いか」と勘ぐってしまうほどに、ホリエモンには好意的だ。

 だがライブドアという会社自体は、ホリエモンの発言ほどには内容のある会社ではないように見える。足場となる自社(ライブドア)の株価が下がる一方では、肝心の株主から怒りを買うだけだろう。

 株式の100分割後の株価下落局面でも、ライブドアはプロ野球への参入表明や、ソフト会社弥生の買収など話題を提供し続けることで、株価の下落をなんとかおさえてきた。

 だがニッポン放送株を手に入れるために手を出したMSCBは、ライブドアの企業価値を損ない続ける危険性を持つ。ニッポン放送問題が長期化する様相だけに、ホリエモンの分は、日に日に悪くなっているように思える。
posted by KH at 02:11| Comment(0) | TrackBack(1) | 時事・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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